だいぶん前に、劇場での鑑賞を見逃してきた、
『鑑定士と顔のない依頼人』
http://kanteishi.gaga.ne.jp/
やっと、やっと、見る事が出来ました。
俗社会から外れた鑑定士が、部屋に篭ったままの女性に恋をする話。
https://www.youtube.com/watch?v=6oeE9w_w6Ak
この作品では鑑定士の孤独に強く惹かれた。
現実では1人で誕生日を祝うシーンから始まります。
誰とも、店の仲間達とも行動を共にせず、競売氏としてひたすら日常を過ごしています。
気に入った美しい女性の肖像画をコレクションして、誰にも見せず隠し部屋に篭ります。
社会的には、かなりのお金持ち、満たされた地位にいるはずなのに、
どんな時でも手袋を外さなかったり、
他人の携帯を使う時はティッシュで包むように挟んで話す徹底的な潔癖ぶり。
それが、鑑定士を孤独に見せています。
外界を拒絶して、部屋に篭ったままの女性の依頼人とは、ある意味似ています。
それゆえに、
彼女に恋をした途端のめり込み、
あれ程規則正しく生活をしていた筈の鑑定士は狂って行きます。
少女が姿を消した途端取り乱し、競売の最中で電話をしたり、
仕事、オークション競売士としてのの振りもだんだんと疎かになっていきます。
屋敷に訪れるたびに、見つける歯車、機械部品。
そして意味深なオートマタが組み上がっていきます。
あらゆる質問に答えるという人形は完成することなく、
彼の前でみすぼらしい姿を現わします。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督、さすがです。
依頼人の屋敷、セットなのでしょうけれど、
室内の美術品や部屋に篭ったままの女性の依頼人を挟む部屋の壁画、絵画。
さすがです。
そして、あのラスト。
町並み、機械仕掛けの壁、画角、構図なのでしょうか?
町が、「パラッツォアドリアーノ」でロケしてるとか?
『ニュー・シネマ・パラダイス』に似ていると感じたのは、私だけでしょうか?
鑑定士の彼はある意味つかの間でも、幸福だったのでしょうねえ。
偽りの愛、騙され全てを失い、
たとえ手元に残ったのが少女の肖像画1枚でも、
待ち続ける事を選択をした鑑定士は、
「来ない物、手に入らない物を待ち続ける」というある意味での幸福感か。
「来ない物、手に入らない物を待ち続ける」こと、
骨董商をしておりましたから、主人公の気持ち、理解できます。
縁があるのか?巡り会えるのか?待つ気持ち。
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